人間が人間にとってのオオカミである

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<<   作成日時 : 2005/12/09 18:01   >>

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ある秋の日、目黒の美術館に父とでかけた。
美しいものをたくさん見てとても幸福な気持ちで併設されたレストランで昼食をとった。
突然父が「わしらは、きっと要らん存在なんやろうなあ。」と言った。それは柔らかい日射しの差し込む明るい雰囲気に全くそぐわない言葉だった。「老人は邪魔なもんなんや。きっと国はこんなに皆が長生きするとは思わんかったんやろう。」父は続ける。確かに平日の昼間、シルバーパスで入館したとおぼしき人たちがいっぱいだった。父は幸いにもまだ細々と仕事を続けていて、決して世の中に寄っかかって生きている訳ではない。それに世の中のお年寄り達はいままで仕事場や家庭で働いてきて、ゆっくり余生を楽しむべきなのだ。それなのに70超えた父にそんな悲しい事を言わせるこの国。

少子化対策なんていうけれど、国を背負わせるために子供を育てなくちゃいけないのだろうか。少子化で学校経営が成り立たないだとか、年金制度がなりたたないとか、毎日そんな言葉を聞かされて、一体自分たちは何なのだろうと、どの年齢の人も感じるだろう。

歯車とか駒とか、そんな風に自分たちの事を感じる。
消費者としてたくさん消費する人がいちばん大切にされている気がする。
アスベストの問題も、BSEの問題も、今回の構造計算書の偽造問題も、少し前のミドリ十字の問題も、いつだって国民は、議員や役人の私欲の犠牲になり、補償に税金が使われ、治める側に誰も責任を問われる人がいない。全く国民が大切にされていない国に子供が増えるわけがない。
永く生きている人を尊敬し、その年寄りの言葉にみなが耳を傾け、みんなでこどもを慈しんで暮らしていたはずなのに。元気な働き盛りの人以外はなんだか居心地が悪い国だ。

みんなこどもだったし、みんな老人になるのに!

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